仙人の会バックナンバー

2010年度までの開催の記録

 

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◇仙人の会 2010年度4月例会のお知らせ
  • [日時]:2010年4月25日(日)14:00〜18:00頃
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)第一校舎3階131-B教室
  • [発表1]:
    • 馬紅(筑波大学大学院世界遺産専攻修了)
    • 「中国における文化遺産としての歴史地区の持続可能な観光開発のあり方に関する研究―世界遺産『麗江古城』束河地区を事例として―」
  • [発表2]:
    • 河原洋子(筑波大学大学院世界遺産専攻修了)
    • 「中国麗江世界遺産地域における民家の変化と継承―白沙集落を中心とした保存のための考察―」
  • 例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
  • 例会案内はじめ会に関する情報はホームページもご覧ください。
  • また会員各位の参与される研究会・講演会については、仙人の会メーリングリストで宣伝することができます。登録済みのアドレスより下記へ告知を送信ください。
    是非ご活用くださいませ。

◇仙人の会 2009年度3月例会のお知らせ
  • [日時]:2010年3月28日(日)14〜18時
  • [発表者]:何義麟(台北教育大学)
  • [発表題目]: 「戦後在日台湾人の政治活動とそのアイデンティティ」
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)第1校舎3階131B教室
    • JR山手線・京浜東北線 田町駅下車、徒歩8分
    • 都営地下鉄浅草線・三田線 三田駅下車、徒歩7分
    • 都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅下車、徒歩8分
    • 現地へのアクセスについては、こちらをご覧ください。

  • [要旨]:

      1945年8月15日以降、日本敗戦の情報が各地へ伝えられると、在日台湾人はいち早く同郷会や学生会などの互助団体を結成し、自分たちの権益を守るための政治運動を展開した。

      1948年10月、台湾出身の華僑総会幹部をリーダーとする華僑民主促進会が結成され、共産党による「祖国解放戦争」を支持する綱領を掲げ、反国民党政府の政治運動を展開した。これをきっかけにして、国民党政府は華僑団体の役員選挙や組織運動への介入を開始した。

      1950年代以降、中共と国府の対立により、日本の華僑社会は激しく揺り動かされ、その組織系統も台湾系と大陸系の二つに分かれ、その影響は今日に至った。また、在日台湾人のアイデンティティや身分登録も曖昧な状態に置かれるようになった。彼らを「日本国民」と見立てて文化的な同化が求められる場合には、その方向性は分散化する。同一化に屈する「日本国民」としてのアイデンティティ、逆に反発する在日中国人としてのアイデンティティもしくは「台湾人」としてのアイデンティティが形成された。総じて言えば、在日台湾人の政治性は三つに分かれることになった。すなわち、共産党政府支持か国民党政府支持か、あるいは台湾独立の主張かの三つである。

      本報告は在日台湾人の自分史を手がかりとして、戦後の在日台湾人の政治運動の一端を明らかにし、特に台湾出身者のアイデンティティ問題に焦点を絞って検討していく。


  • 2009年度幹事 櫻田涼子、藤野陽平

◇仙人の会 2008年度1月例会のお知らせ
  • [日時]:2009年1月30日(土)14:00〜18:00頃
  • [発表者]:原尻 英樹(立命館大学教授)
  • [発表題目]: 「武道における身体論研究の方法論:合気柔術と琉球古流空手を事例として」
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)大学院校舎5階352教室
    • JR山手線・京浜東北線 田町駅下車、徒歩8分
    • 都営地下鉄浅草線・三田線 三田駅下車、徒歩7分
    • 都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅下車、徒歩8分
    • 現地へのアクセスについては、こちらをご覧ください。

  • [要旨]:

      今回の発表内容は、二部構成になっている。最初の一部は、資料紹介等であり、二部が今回の発表のメインになっている。一部においては、(1)朝鮮を事例にとった東シナ海域研究のための基本的方法の紹介、(2)在日外国人研究の問題点、以上について30分ほどで発表し、質疑応答をする。

      二部については、以下のようになっている。

    「武道における身体論研究の方法論:合気柔術と琉球古流空手を事例として」

    キーターム:近代的身体、前近代的身体、視覚、立体的、球体の動き、波動

      今回の発表の前に、確認しておかなければならないことがある。それは人間の視覚についてであり、人間の視覚は三次元の空間を網膜という二次元の世界に写すことで成立っている。知覚心理学でいわれていることは、人間のもっている空間、つまり三次元の世界についての認識とは、三次元世界そのものではなく、人間が二次元的、平面的世界で再構成した、人間がつくりだした世界に基づいている。人間の視覚情報をもとにつくられた、一見すると三次元的世界にようにみえるものも、実際は、三次元世界そのものではなく、人間によって加工された世界になっているといえる。つまり、人間の視覚情報をそのまま客観的な情報として取り扱うことはできないのであり、我々人間の視覚には見えない三次元世界があることを認めなければならないのである。

      後述するように、武道の基本原理は平面的な動きではなく、立体的な動きに基づいており、これは通常の視覚ではそのまま把握できる対象にはなっていない。しかしながら、我々が学問的分析を遂行するうえでは、視覚情報を使わざるを得ないのであって、これを一つの方便として活用する以外に適切な方法があるとは考えられない。この観点から、視覚情報の限界を知ったうえで、実は我々には感知できない立体的世界について考えていることを前もって知っておかなければならない。ここでは、これは何らかの立体的動きであり、そしてそれは大半の現代人にとっては、平面的に映るが、実はそのような動きそのものではないという、基本的覚悟が必要なのである。つまり、技そのもののについての認識ではなく、技を理解する糸口をつかむための認識が、今回の発表の目的になっている。

      さて、私が制作したDVDをまず観ていただきたい。最初が、合気柔術による基本技とその応用である。次が、首里手と呼ばれている古流の空手の基本技である。DVDのなかでも解説しているが、丹田を中心としたところで、球体あるいは螺旋形の動きをおこし、その波動を自らの末端まで伝え、それを相手に伝えることで技にしていることがわかる。これは、腰のあたりのインナーマッスルを、関節をはさんで連結させ、そこで生じた波動を手の指等の末端に伝達させているとも言い換えることができる。この基本的動かし方は首里手でも同様であり、双方の基本原理になっているといえる。しかしながら、技が熟すれば熟するほど、動きは繊細となり、描かれる球体自体が小さくなっていく。ある段階以上になると、見た目ではどのように動いているかがわからなくなり、単に、演武者の腰のあたりが重くみえるだけになってしまう。

      これらの事例を身体論研究の方法のレベルから考えると、まず、通常の体育理論、スポーツ理論といった近代的身体を前提とした身体論は、ここでは通用しない。例えば、身体の移動の方法は、倒木法と呼ばれる、自然の重力に逆らわずに、それを利用してエネルギーをそれほど使わずに、無拍子(反動をつけずに)で動くやり方になっており、しかも足の着地は足裏全体でおこなっており、これも近代的歩き方にはない方法になっている。

      研究方法の第一前提は、操作的に近代的身体と前近代的身体を分けることである。現代の日本における身体はほぼ近代的身体になっているが、農業等の第一次産業従事者の一部にはまだこの身体が自然な形で継承されている面があり、操作的に分ける理由はそこにある。次に、前述のように近代的な視覚情報によっては前近代の技を理解できないのであるから、研究者自らが技の修得をする必要がある。この学習過程のなかで、どのような原理が働いているかを、当初は特定の技言語を介して学び、そしてそれを普遍言語に翻訳すればどのような表現になるかを考察しなければならないといえる。もちろん、その際には先行研究等も参照するが、自らが技を修練し、修得していったというフィールドデータが最も重要だと考えられる。それから、別の武道(文化的に考えた場合何らかの連続性があることが予測される対象)を同様に学び、原理上の比較を試みる。比較をすることによって、技の原理の広がりが確認でき、また、より普遍的なレベルでその原理が分析可能になるといえる。

      発表においてはこれまでの代表的な身体論研究における研究方法についても、今回の事例に基づいて具体的に論じ、これまでの研究の問題点とその克服方法についても考察する。また、具体的な身体レベルではあまり論じられてこなかった東シナ海域全体の、武術、武道、芸能における身体操作法の連続性についても論じる。


  • [参考文献]:原尻英樹2008『心身一如の身体づくり:武道、そして和する“合気”、その原理・歴史・教育』勉誠出版


  • [備考]:
    • 例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
    • 発表者には懇親会費無料の特典つき。
    • 発表希望または例会についての問い合わせは幹事までお願いします。

◇仙人の会、東アジア人類学研究会 2009年度11月例会のお知らせ

  以下の通り研究例会を開催いたします。

  • [日時]:2009年11月14日(日)14:00〜18:00
  • [会場]:慶應義塾大学(三田)第1校舎3階131B教室
        JR山手線・京浜東北線 田町駅下車、徒歩8分。
        都営地下鉄浅草線・三田線 三田駅下車、徒歩7分。
        都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅下車、徒歩8分。

  • [テーマ]:中間アクター
  • [発表1]:
    • 大石侑香(首都大学東京大学院人文科学研究科 社会人類学教室 博士後期課程)
    • 「ポスト社会主義期の地下資源開発とシベリア諸民族の土地利用:中間アクターの経済人類学的考察から」(仮)

  • [発表2]:
    • 中村知子(東北大学東北アジア研究センター専門研究員)
    • 「開発政策実践における社会構造分析:地方政府の実践を中心に」

  • [備考]:
    • 今回は仙人の会、東アジア人類学研究会の共催となります。
    • 例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
    • 発表希望または例会についての問い合わせは幹事までお願いします。
      sennin.no.kai@gmail.com(←@を半角にしてください)

◇仙人の会 2009年度10月例会のお知らせ

  初秋の候、会員の皆様におかれましてはお変わりなくお過ごしのことと思います。さて、仙人の会10月例会のお知らせを御案内申し上げます。ぜひ皆様万障繰り合わせの上、ご参加下さいませ。

  • [日時]:2009年10月18日(日)14:00〜18:00頃
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)大学院校舎5階352教室
  • [タイトル]: 「『難民』としてアメリカに移住したラオスのモン(Hmong)族―30数年の時を経て受け継がれる伝統と新しいモン族の諸相―」
  • [報告者]:吉川 太惠子(法政大学国際文化研究科博士後期課程)

  • [要旨]:

      中国歴代王朝によるモン族平定化に抵抗し、漢民族の排斥を受け続けたモン族は、18世紀頃からインドシナ半島へ南下し、タイ北部やラオス北部の山岳地帯に移り住んだ。第一次インドシナ戦争ではフランスに、第二次インドシナ戦争(ベトナム戦争)では、米国の傭兵として、モン族は最も危険な前線部隊を担った。このため、ラオスに1975年に共産政権が樹立されると、行き場を失ったモン族は、多くが共産勢力に殺戮され、生き残った人々は、自由勢力側に協力した代償として、タイの難民キャンプを経て、西欧諸国に「難民」として移住した。

      発表者は、エスニック・マイノリティのグローバル・ネットワークに関して、アメリカ合衆国、フランス、オーストラリアの三カ国に再定住したモン(Hmong)族[1] について研究を行っているが、本報告では、最も多くのモン族を受け入れたアメリカ合衆国におけるモン族の現状について発表したい。

      数あるアジア系移民の中でも、最も貧しく教育に恵まれなかったモン族は、移民から30数年を経てどのようにアメリカ社会に適応し、”Hmong American”としてのアイデンティティを確立してきたのだ ろうか。

      また、「流浪の民」として離散を繰り返したモン族にとって、Clan(一族)とその親族関係(Kinship)は、家族や親族を繋ぐ彼らのアイデンティティの中核を成す最も重要な要素であるとされているが、彼らがどのように父系家族優先社会を、現在もアメリカ社会で維持しているかを、その親族関係内における個々人の「スペース」の概念に着目して報告したい。

      なお、発表者は、モン族のアニミズムにもとづいて行われる儀式のなかでも、最も重要とされる葬式を、ミネソタにおいて2009年7月に、「身近な一親族」という扱いで参与観察する機会を得た。4日間続いたモン族の伝統的な葬送の儀式を事例に挙げながら、受け継がれる彼らの伝統が、親族関係内の「スペース」、すなわち人々の絆に基づいていることを報告したい。

      このように、“Hmong American”として、アメリカ社会に溶け込んでいるモン系アメリカ人の現状と、一方で伝統的社会の中に生きるモン族の諸相を本報告で発表することで、アメリカ社会における一少数民族であるモン族の生き様を伝えたいと考える。


      [1] モン族(Hmong)は、中国ではミャオ(苗)族と呼ばれ、中国・チベット語族。英語表記では、Hmongと書かれる。ミャンマー南部に住む、モン・クメール語族のモン(Mon)族は全く別の民族。


  • [備考]:
    • 例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
    • 例会案内はじめ会に関する情報はホームページもご覧ください。
    • また会員各位の参与される研究会・講演会については、仙人の会メーリングリストで宣伝することができます。登録済みのアドレスよりこちらへ告知を送信ください。是非ご活用くださいませ。
    • 発表希望または例会についての問い合わせは幹事までお願いします(メーリングリストで送られてきたメッセージにそのまま返信しますと、会員全員に配信されてしまいますのでご注意ください)。
    • 仙人の会 幹事(メーリングリスト管理者)09年度幹事
          藤野陽平・櫻田涼子 

◇仙人の会 2009年度7月例会のお知らせ
  • [日時]:2009年7月26日(日)14:00〜18:00頃
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)研究棟地下1階 第一会議室
      ※ 4・5・6月で使用した会場の建物とは異なります。ご注意ください。
  • [タイトル]:「女性をめぐる祭祀と幽霊‐寧波・湖心寺の歴史と瞿佑の『牡丹燈記』」
  • [報告者]:城尾ふみ子 (シカゴ大学東アジア言語文明学部博士課程 博士候補生)
  • [要旨]:

      本発表では瞿佑(1347-1433)の志怪小説集『剪燈新話』の中の一篇である「牡丹燈記」の寧波における流布と同話の舞台となった寧波湖心寺の歴史を辿ることで、明清中国における女性の祭祀の位置づけや志怪小説が土着化するプロセスなどを検証する。主な論点として、1)袁家と湖心寺の関係について。特に明代末期に湖心寺を巡って起こされた裁判に注目し、仏道に帰依した袁家の姉妹をめぐる祭祀がその裁判においてどのように扱われたのか考察する。2)湖心寺と廃墟のイメージについて。3)地元文献における「牡丹燈記」の変容。寧波の文人たちによって編纂された書物の中で同話がどのように変化し、地元の伝承として認識されていくようになったのかその過程を検討する。

  • [備考]:
    • 例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
    • 例会案内はじめ会に関する情報はホームページもご覧ください。
    • また会員各位の参与される研究会・講演会については、仙人の会メーリングリストで宣伝することができます。登録済みのアドレスよりこちらへ告知を送信ください。是非ご活用くださいませ。
    • 仙人の会 幹事(メーリングリスト管理者)09年度幹事 藤野陽平・櫻田涼子 

◇仙人の会 2009年度6月例会のお知らせ
  • [日時]:2009年6月14日(日)14:00〜18:00頃
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)大学院校舎5階352教室
  • [タイトル]:「戦後初期の中国東北延辺地域社会変動と東北延辺民主大同盟」
  • [報告者]:花井みわ(明治大学非常勤講師)
  • [要旨]:

      本発表では、1945年8月以降から1946年までの間に、中国東北延辺地域社会をリードした東北延辺人民民主大同盟が延辺社会に果たした役割を検討する。

      1945年8月初頭から延辺各地では地域のエリートたちによってソ連紅軍歓迎会が密かに組織された。ソ連紅軍歓迎会は8月15日以降公に活動を行い、組織を拡大し、ソ連軍の指示を受けながら延辺地域の群衆工作を展開した。9月には労農青総同盟を創建し、10月には東北延辺人民民主大同盟に改めた。東北延辺人民民主大同盟は総務部、宣伝部、組織部、青年部、婦人部を設置し、その基層組織は延吉、和龍、琿春、汪清、敦化、安図県に分布した。1946年東北延辺人民民主大同盟の成員数は14万5千人に達したが、成員の90%以上が朝鮮族であった。

      東北延辺人民民主大同盟は「中韓民族平等」「民権自由」「民生幸福」「民主的な連合政府の設立」を目的とし、戦後初期に事実上政権としての役割を果たした。東北延辺人民民主大同盟の設立、活動、解散までの過程を通して朝鮮族エリートたちの対応を考察する。

  • [備考]:
    • 例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
    • 例会案内はじめ会に関する情報はホームページもご覧ください。
    • また会員各位の参与される研究会・講演会については、仙人の会メーリングリストで宣伝することができます。登録済みのアドレスよりこちらへ告知を送信ください。是非ご活用くださいませ。
    • 仙人の会 幹事(メーリングリスト管理者)09年度幹事 藤野陽平・櫻田涼子 

◇仙人の会 2009年度5月例会のお知らせ
  • [日時]:2009年5月17日(日)14:00〜18:00
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)大学院校舎5階352教室
  • [タイトル]:「族譜と葬送儀礼からみる中国プイ族の祖先観念」
  • [報告者]:余志清(清泉女子大学非常勤講師)
  • [要旨]:

      中国貴州省貴陽市周辺に居住しているプイ族の間に、自分の祖先が「江西省吉安府朱市巷から来た」という「祖先移住伝説」が広く伝わっている。また、多くのプイ族の族譜にも、祖先が江西省から来た漢族であると記されており、さらにプイ族を含めた「非漢民族」を鎮圧するために貴州省へやってきた「征夷大将軍」であるという記載もある。

      一方では、人が死んだら、自民族の祖先のいるところへ帰るという観念は移動の歴史をもつ西南中国の多くの少数民族にみられるものである。この地域のプイ族の葬送儀礼(とくに「超度儀礼」)においてもこうした観念が凝縮して現れている。この祖先のいるところ、つまり「祖先界」は、江西省ではなく、自民族の発祥地である。「超度儀礼」において、死者を無事に「祖先界」に帰らせるために、さまざまな装置が用意されている。「祖先がプイ族である」ということも、多くの場面で強調されている。

      本発表は、収集した族譜と葬送儀礼の細部から、プイ族の重層的な祖先観念とその発生背景について考察し、その意味について検討していく。

  • [備考]:
    • 例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
    • 例会案内はじめ会に関する情報はホームページもご覧ください。
    • 仙人の会 幹事(メーリングリスト管理者)09年度幹事 藤野陽平・櫻田涼子 

◇仙人の会 2009年度4月例会のお知らせ
  • [日時]:2009年4月18日(土)14:00〜18:00頃
  • [場所]:慶應義塾大学(三田)大学院校舎5階352教室
  • [タイトル]:中国中世の鬼神観と却鬼書―『女青鬼律』と『白澤圖』の比較を通して―
  • [報告者]:佐々木聡(東北大学大学院文学研究科博士後期課程)
  • [要旨]:

      鬼神とは、狭義には死者の霊魂や神々、さらに広義には冥界の鬼官、山野に跋扈する悪鬼・精怪といったモノをも包括する概念であり、その鬼神に対する観念を鬼神観と呼ぶ。そもそも怪力乱神を語らずと言った孔子にさえ、鬼神について滔々と語った説話が残るほど、中国文化は鬼神・怪異譚と馴染み深い。そこで鬼神観に関する資料を渉猟してみれば、思想書・宗教経典・小説・詩文などの文献資料のみならず、各民族が保有する膨大な口碑、さらには美術や考古文物など実に多岐に亘り、それに比例して研究史も重厚である。

      その中で、本発表で扱う資料は、「南斗三台鬼、姓溟、名温夫」「玉之精名曰委然」などというように鬼神の姓名録の体裁を取る資料群である。これらの資料が同様に多数の鬼神・精怪を列記する『玄中記』などの同時期の博物書と明確に異なる点は、「鬼の名前を呼べば、鬼を撃退使役できる」という理念を基底とした却鬼書の性質を持つ点である。従来、これらの資料は、個別的に検討されたり、或いは、道教思想史の一環として研究される場合が多かったが、そこに描かれる鬼神観自体を体系的に捉え、比較検討するような研究は、これまで十分には行われてこなかった。

      この状況を踏まえ、本発表では、共に六朝初期に成立したとされる『女青鬼律』と『白沢図』という二つの系統の異なる資料を取り上げる。前者は初期天師道の経典として道教信仰の中に取り込まれ、後者は『隋書』経籍志以降、子部五行類に分類され、雑占書と結びついていくなど、異なる受容史をたどる資料であるが、共に「鬼の名前を呼べば、鬼を撃退・使役できる」という却鬼理念を下敷きにする書物であり、その共通性も既に指摘されている。しかし、その鬼神記述の検討、両者の持つ鬼神観体系の比較を通して、それぞれの鬼神観の相違点もまた浮かび上がってきた。そこから、本発表では、両書の持つ背景の違いを踏まえながら、鬼神・精怪、そして怪異に対する当代人の営為を描写してみたい。

      また、『白沢図』及び白沢の信仰は、時代と場所を隔てた江戸期の日本でも流行したことが知られている。無論、発表者にはこの問題を論じる技量はないが、これと関連して、日本文化史や民俗学における妖怪研究と中国学における鬼神研究の関連性についても、いささか言及してみたいと思う。

  • [備考]:
  • [幹事連絡先]:

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